*ぷみささんちの白紙帖

ぼくのこころのふりーだむ。

*ぴちゅ:めゝんと∴ぱらたいぽ

https://pms0lsxm.hatenadiary.jp/entry/2019/10/26/043045

**〔exspiravit ∃ureka papilionem

馴れ親しんだ厭魅(いやみ)くさぃ声が響ぃた空間に眼を向ければ、
どこまでも空間の空気に固まろぅとはしなぃだらけたるんだ
我が兄弟がまるでセピアにぼやけた世界に”蛍光”のインクでもこぼしたよぅに、ふひゃひっ、とにやつぃたところだった。
「お前ぇさ、ひとつ大切な事をわすれちゃいなぃか?とっても面白ろぃことをさ!
それなのに、まるできれーぃに桝目に嵌った、まったくここの標本達みてぇだぜ。とてもそぅだってのに、
なんだかこのなかで一とぅ番に、図(ず)っとしょぼくれた顔してるぞ。もっと楽しめよ!」
未だにおのれの食事―なぃし茶席の刹那の嗜好(たしなみ)か、を、終えなぃ葱は鋒先(フォーク)を咥ぇながら、鋭くもやぶさくもなぃ眼付きでこちらをじっとみている。
漆彩の混漠から真実の背中をたつ―眼射。
「そぅだ ぼくは
そ、そぅです…見たかったんです。博士の標本が。
この目で直接。それでこの身(み)は、ここへ来た。」
…そぅだ、いまさら常識人めかして、見ず知らずで無鉄砲なこの純粋かつ麗(うららか)な愛―幼さなぃそのようなもの―が、
こんな訳のわからなぃ大人たちのひっ絡まった笧伽藍靡(しがらみ)なんかに負けてなどたまるか。
だれだ、いかれたやつにはまじめに大人しくしてりゃ勝つなんて言った奴は。
ごとり、と思ゎず抱きしめた。絹肌の深海魚が抱く微細(ささやか)な鼓動が樹脂塊の幻想の漿液超しに伝ぅ。
終果(さいご)の骸子(かけら)の塊を、柔手にからっきしの己の勇気を守るために胸寄せながら、ただしその硝子質の身はやはり温まゅかったのは、この心の発熱故か。
「博士の屋敷の幽霊の?それとも君たちの聖女(‐マドンナ‐)さんの正体を知りにか?
その証拠ならこれだ。君達と俺らの話があからさまにしたただ、このままのことに世界は過ぎなぃんだよ。」
橅はいつまでもケーキをわけたその黄金色のナイフを握ったままの腕で、葱の細ぃ髪先を指先でぴんと刎(は)ねぁげた。
「いぃぇ…ぃや…そぅです、屋敷、この屋敷の、博士の、葎博士の遺したこの博物庫そのものを見にです。
ぼく、標本が好きで、とぃぅか、ぃぇ…その、博士の標本が好きなんです。博士が!

ぼくの心の標本といぅ言葉のページに意味を、そぅだ、その…この光を、いゃ生命(いのち)を齎したんですよ。博士のお蔭で僕の中のこの博物庫―こんな素晴らしぃ、生体標本といぅ存在とは、特別なものになったんです。
それで…ぅん、ぁの、その、ッはぃ、ともにかくもそぅぃう切欠、理由でぼくは…それでこの標本庫ッ…、こちらの博士、お屋敷と出逢ったんだけれども!
それで、興味を引かれて、ここに、自分にかな、はっと驚きはしたんだ…彼等にはそぅいう瞬きといぅか日常には無ぃものがあるんだよ。わかるかぃ!?
まるで今ここに生きてぃる生物と共に在ることそれ以上の、生命への理解と命の悠久を感じたんだよぼくは。多分それは博士の魂たる想ぃの結晶が」
鮮枯色にせんこぅのまたたきで薫(くゆ)る融糖の興奮にひとつ忘れた息継ぎ、澄やかに開ぃた瞳孔ににじんだ風景を撚り戻す為一瞬ピントを合ゎせ―
そのただぽっちの間に気が付けば、視界の斜(はす)向かぃの二人の姿は―まるで凛と咲く日纒りのキツネノカミソリと咲き結ぇたショクダイオオコンニャクのよぅに―すっかりともにみなもよせてうなだれかかってぃるところだった。
「懐かしぃ話を色々ときかせてもらったね。」
白皿の上を黙々と撫做(なぞ)り続ける葱は、日和(ひより)色の髪を堅丈(おぉき)ぃ掌でさも丁寧も丁寧そぅに撫でながら、頬寄せる柔かぃ長石色に半分埋まっている。
やっぱりこぃつ、自分の矮巨(デカ)さと不相応に、人との距離感に鈍ぃやつなのだろぅか。
その風景はやはり繊細な懐疑に心寄せる前にシュールだ。
「葱(ネギ)…おまぇのいうところで、やっぱり君達は、ここにくる運命だったんなのかもな。」


「昔もさ、こぅいぅふぅに集まってみんなで茶会をやったもんだったよな。」
深ぃ眼力に櫛通す分厚ぃ睫毛を薄めながらに消点は流し見て、微風吹きこむ窓の外の木々の囁めきがまたふしぎと大きく聞こぇだす。
「こぅやって、庭に机を並べてさ…博士が紅茶を入れられて、雪さんがきれぃな声でうたぅんだ。
うちの母様が菓子を作ってきて、それで…ぁとはまぁいぃや。 こんな陽気がいぃ光る雲の下(もと)、樹漏れ日が射してな
それで、ちぃさな小鳥が鳴ぃてて、足許には草が生ぇてぃて、花も…そのまゎりを、俺たちはなんのきどめもなくかけ回ゎってる。」
そぅこたぇる橅は、まるで物言ぬ白々しぃ葱の躯体に押し込めるよぅに眉間に皺を寄せた。彼のそれはいかにも扇情的に一昔前の活劇的で、
この卵黄(テンペラ)色の舞台と彼等のちぐはぐな構成も合間って、仕做(さな)がら聖画の姿の様ぅにも似た。
「ありゃ、何て名前だったかな。…昔はこの庭にもあったんだが、なんだかなにもかも懸命に手入れする内にいつのまにかなくなってしまったんだよ。―あぁ、雪さん、声楽やってたらしぃぜ。博士ともそのへんの趣味の界隈でで知り合ったとか。


昔もみんな家族でそんなふぅに、なんだかみならが盛り上がってきたときにゃぁさ、庭で茶会の〆ン方で歌ってくれたりしてたよ。
そぅすると何とも、この世のすべてのものが綺麗に美しく見ぇるんだってさ。みんな喜ろこぶんだよなぁ。なんだか一目人の心を添(よ)せるそぅいうものが、在った人みたぃなよぅだね。
博士の淹れる紅茶とぃやぁ、逸品のいぃ香りでね。おれは餓鬼ながらにそれに酔ぃしれて待ち遠しく思って眺めたもんだよ。もったぃがなぃことにそれよりネギは甘ぃ物(モン)に夢中だったがな、ありゃくどぃほどバターと砂糖が効ぃた焼菓子なんかにゃどばりと煮詰めたジャムがたっぷりで―それでおまぇ、口の回ゎりもひでぇことにしてなぁ―」
その物語へとつづられるいまぃち話する”主人”はおぼつかなぃ。


「お前ぇ、ネギ、それだけは直らなぃな。あんなにいぃ子ちゃんだったのに。それだけは―…
そぅだよな。こんなふぅに、大人達の、御父上様のいぃつけをきちんときぃて、こぅやってここでお利口さんにしてるのも」
慈翳(おも‐かげ)に皺滲(くしゃ)つぃた僅(わず)か煽るる日を搦(から)める髪が、あいさびた掌の中で揺れる。


「あぁやって皆んなでいられた、そんな日々が戻ってくるのを、ずっと待ってんだもんな。」
「ぇっでゝも、博士は…」


失態の主語を知ったのはぼくが物話(ものがたり)の主から、屋敷守の顔つきを見たその後からでぁる。


「数年前に、ずっと入(は)いってたご病棟の方で神経衰弱で、亡くなったって…」

 

カィン、 と、鈍灰色の床に叩きつけられたにしても澄んで響きすぎるよぅな鉄琴(てっきん)の音を立て、