*ぷみささんちの白紙帖

ぼくのこころのふりーだむ。

*ぴちゅ:めゝんと∴ぱらたいぽ

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清んだ淡夜色に融ける蜂蜜色の陽気、ぽかりとまるく口開(あ)けて浮かぶ柑橘色の夕日―広く高ぃ空には柔らかく包み込むよぅな長石色の雲が情緒的な古代魚の軟骨のよぅにたなびぃている。
さきほどの部屋の空間と―この現実が一続(ひとつづ)きでさぇなければ、御機嫌にでもなった美しぃ日かもしれなぃが…

 

それともぁの濃密な黄浮(たそが)れの空気が、この燦譟(さんざ)めく色に気づかせたのかなぁ。

 

まるで平穏な微風だけが、この外の世界をせかすよぅにちゃかすよぅに、一弁(ひとひら)吹ぃた。

 

 


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今まさに事態の中芯であろぅ大きく萌黄緑に輝く美しき二翅の蝶々の躯収まる古木箱を手元に撫でながらからりと語るに伝えぬふざけた、わるぃ大人達に

 

「こぅしてここにちゃんとあるものを、どぅしたって外に探せってんですか!」
ぼくらは確かに冗談(からか)ゎれてぃると思ったので、正直に口に出して高々と叫んでしまった。

 

「これは君達に摂っても悪ぃ話じゃなぃんじゃなぃか?」
「こんな一休さんのとんち謎々みたぃな話、どこがぼく等へ得だってんですか!」

 

「君達は君達の立場を、どぅやらまだちゃんと分かってぃないよぅだな。」
橅はこきりと首傾げ幼児の演劇会の様ぅに分かり易く挙動してみせる。

 

「だって考ぇてみろ少年達、こぅして外に出れた空隙(すき)に、逃げられるかもしれなぃじゃなぃか。」
「ぁっ。」
そっか。

 

 

ぐぅ〰〰〰…、西洋琴をつまびきそぅな高音を引っ掻く愛の鐘の様ぅな唸り声が、屋敷守の橅のそれを吸ぃ込む徹(こわ)き岩壁のよぅな鳩尾へ揺蕩めく羽毛のごとき頭突きを繰り返し始める―白ぃ項(うなじ)の裏側から聞こぇ出す。

 

そんな苔蒸す石畳のよぅに、受けさせることにこ懐れてゆぇか黙って己にかちゎれゆらぐままをとどめぉく、長身(タッパ)のせぃかそぅ細かろぅが擬人台(トルソ)のごとき丈夫にみぇる堅牢な身体は微動だにせず

 

互ぃに助(すく)ぇぬむげな仕打ちに
こちらの心ばかりがせかされる、ぁあやめてくださぃやめてあげて。

 


「しょぅがなぃじゃなぃか。だってネギの大切な蝶々が逃げてしまったんだぞ?」
そんな思ぃをやけに独人(ひとり)だけ気にすらもとめずか―されど見透かしてか
それにしても臆面なげに飄々と語る口上のそれは~それ主―葱が言ってた事のまんまですよね。

 

朦然(もぅぜん)とくゆる風景こそをどぅとも宿らなぃ眼筋の焦点でふかく、長く濃ぃ睫毛でいとぉしげにねめつける。

「ひどぃじゃなぃか、おかげでネギがこんなに困ってしまってぃる、君達のせぃで。」
そんな潔癖にちらめく生成の襟を寄せかばぃながらぬるを胸元にかぃ抱いて、やさぉしく逆立つ頭を撫でた。
葱は殊更に頭を振ろぅともがき大きく袖振りいままでのなけなしの仕草入り乱れ、逆に餌を親鳥に強請るがむしゃらなそれである。

 

ぼくは先の経験から学習した橅(やつ)といぅ男の性質の片鱗から、今自分の身に受けてぃる恣意(わざと)らしぃ状況をわかってぃた。