*ぷみささんちの白紙帖

ぼくのこころのふりーだむ。

*ぴちゅ:めゝんと∴ぱらたいぽ

https://pms0lsxm.hatenadiary.jp/entry/2019/08/26/145050

exspiravit ∃ureka papilionem

 

***
(*)
『あの人に助けてもらった命なんだから、
だから私はあの人の分までしっかり
あなた達の母親になるの』

*********

ぼくたちにとって忘れもしなぃ。いゃ、
現在進行形(げんざいしんこうけい)で保(たも)たれてぃる存在性(そんざいせい)といってもいぃ。

僕(ぼく)たちの命は、もしもその女性(ひと)が居なければ、

母と共に…ここにはいなかった筈だった。

そしてその女性はぼくたちを救ったその刻(とき)から、この世にはもぅいない。

 

「一人だけ」

 

それは確(た)しかに、運命にひきさかれたんだ。
忘れじの往世(おうせ)を綴(ふぅ)じ込めた、時断(ときと)まった
その面影(おもざし)―今は跡型喪(あとかたな)き筈―の祭壇に飾られた、ぼくたちのうちだけのただ唯一(ひとり)の『聖女』

*********

標本の無随(むずい)の燦(きら)めきに祭花(さいか)のよぅに囲まれて、
永久の刻を白肌に染み込ませ、
寧らかに深く眠るよぅに転がる
母の恩人、あの日失くなった
博士の故(こ)人の妻。その貌(カオ)は確かに、
あの、ヒトは、人は。

幽玄としずかに眠る夢々しく靈胞んだ標本層(そう)の地階(ちそう)のなかに。


それがこんな形で、本当に存在(そんざい)をしてぃるとは―…あぁ神様。なんてこった!

 

心に夜が来るよりも疾風(はや)く

あんなに慎重に紳淑に繊細に*
夜明けに渡る千鳥がきづくよりつつがなく

理性の空隙に意識が跳んだ
眩暈より早くセカイ(世界)を薙ぐ
刹那、不埒(ふらち)な無重力が貫(はたら)き
燐光(ラメ)色の景色が視界を廻(まゎ)るドップラー効果で駆(か)け過ぎる。
白壁を足場にからがらそっとよじ登り、*やっと身を架(ぁず)けた
―――
まさに思索(シサク)の油断(ゆだん)と共に全身の重心を預(あず)けた、
細窓(ほそまど)の木枠(きわく)が丸ごと外(ハズ)れたのだ。これじゃ古城の刎橋(はねばし)どころでなくドリフのコントである。

渺(わずか)までかつて足許だった背後からは薄紗(ハクシャ)を裂くよぅな複雑(ふくざつ)な散乱音がし、強ぃ古木(ふるき)の床(ゆか)板のたちのぼるほこりくささを感じながら、
ぼかぁ。 そしてぼくはまるで普通ぅに顔(ガン)面から墜(お)ちた。 そんなところまでベタ(フツー)はいらなぃ。

〔あとは、どぅか世界でこの子だけは苦悩と災難から守られますよぅ。総ての哀惜から分かたれ悲痛と裂かれ、満ちたる充足のなかに永久の幸福の中で生きられますよぅ。〕

衝撃(しょうげき)の脱力に我(われ)おこせよと喰ぃしばりつく眼鏡の撚遮(ひしゃ)げた鏡子(レンズ)の中で
おぼつきながら「蓮根、─蓮根(すぎもと)!」
 -鮮烈(センレツ)な意識(いしき)の透間(はざま)でいままだなを肺(ハイ)胞を満たす白ぃ翳を背緒ぃながら
矮(わず)かな正気でせつなき相棒の気配を探す。
「ど ?どっ、どぅすんだよ、ほ 蓮根おぉ―…っ ぉ ぼほ、ぼぼぼ、ぼくは重犯罪(じゅうはんざぃ)に手を染(そ)める気は無(な)ぃと言った筈(はず)だぞ!」

***
う゜ぷにゅょぅ。

***
自分と身の丈同じだけの圧力がぼくの背中にのしかかる。  ***
「蓮根!ぐぅ」
ぼくを標準的(フツー)に台座にして。
「―…どぅやっておまぇ一人で登ったんだ! 、
っていぅか、おまぇまでこっち来ちゃってどぅするんだよ!
帰りはどぅす」

ぼくが誅(い)ましめ終ゎるより先に次の瞬間(とき)、そのわが兄弟はあの無邪気な微笑(ほほえ)みで言ぃ放った。
「あぁ、しまったぞ大根、幽霊屋敷(ゆうれいやしき)の守(も)りの化(ば)けものに見付(みつ)かった!」

はっ。
その巫山戯(ふざけ)た御託(ごたく)の言(い)ぃ回しより真実(まじ)の窮地(ピンチ)を感じ取れるのはいま、ここにぃるのはぼくだけなのか。
「きみがここへいる姿(トコ)を見られちゃった!もぅすぐこっちへやってくるぞ!ふぴゃっぽへはははふ」

「笑ぇよ!おまぇの言(い)ぃ草(ぐさ)はとにかくなんでもいぃ、それじゃぁぼくらここから逃」
今度はぼくの戒ましめがいぃおわるよりさきに、ぼくは

直感的な領界(はざま)のさざめく確心を、
捉ぇた莫無(なけなし)の本能が、視界裏(うら)の
風景の変遂に素早く振(ふ)り向ぃた。

生骸(いのち)の叢(むれ)の中で雑然と床に仆垂れ(もた-)打倚(うちふ)せた、
その海から深呼吸する白鯨のよぅに
あさく 身を引き起こしたそのひとが、目を見覚き 僕等(こっち)を見てぃた。

にわかにさきほどめとあたまのなかではぢけてさった、緑色の燐光(ひかり)に しかいは包まれ

 

「っ(っ)」

 

それと同じ光を細搦(ほそ)めた瞼(まぶた)の瞳(め)に宿す、僕らが母の神棚の聖(せい)なる女性と同じ顔。
 **

 

それは埃滲みた清廉な呼気を不機嫌に掠(かす)るよぅに微かな低音で喋った。

 

   「人間(ヒト)は、およびじゃねぇ」

無数の逆勃(さかだ)った牙(キバ)を並べた空(・)を見る目の深海魚(サーペント)が笑ぅ-ぼくの兄弟(すぎもと-)を直撃した。
鈍ぃ音を馳(は)せて、響鳴(キョウメイ)する穿たれた日に焼け摺(さび)れた床板と地鳴が頭蓋の顋門(ひよめき)を揺らし、
心窩(ガ)を鯖折りする触れを齎(もたら-)たら-す震動が自分の足許まで衝撃(しょうげき)する。

 

彼の横に馳(はせ)控(ひか)ぇる魂(*)のたくさんの眼筋(まなすじ)が、***そぅにぼくらを眺めてぃた。